日本再興戦略
2000年代以降、「失われた20年」と言われ、私たちの住む日本の経済成長は低迷を続けました。
どうすれば、日本が再び活力を取り戻し成長することができるのか?
そもそも、日本が復活することはできるのか?
今回は、大学教授でメディアアーティスト、経営者でもある落合陽一さんの書籍「日本再興戦略」を読みました。
本書は落合氏が日本のグランドデザインについて語られた一冊。
落合氏は「我々の世代の次の一手」で、日本の停滞は終わると述べられています。
日本の未来を考えた時に、今、私たちにできることって何なのか?そのヒントをつかむべく読んでみました。
日本型イノベーションを再構築する
日本ではイノベーションが起きづらいと、よく言われています。
これは、日本という国そのものが既に満たされておりイノベーションを起こす必然性が無いと説明されることが多いです。
本書では、日本が進むべき道は、日本の原点、向き不向きを見極めた上で、学ぶ価値があること、そして学ぶ価値のないことを峻別していくことが大事だと述べられています。
そして、日本が学ぶべきは、シリコンバレー型、シンガポール型、中国深セン型のようなスピード型でビジネスを創っていくスタイル。
つまり、フットワークの軽さ。
そして重要なのは、全体的な方針からどう具体化していくかという点かと考えます。
本書では「日本がイノベーションを生むためのエコシステム」とつくる必要があると述べられています。
日本の強みと掛け合わせて、どのようなイノベーションを起こすか。
掘り起こされていないだけで、これはマッチングしていける場がしっかり提供されていれば、解決していける話かもしれません。
百姓という「多動力」を持て。
日本の昔の百姓のように多くの生業=ビジネスを持つことが重要だと述べられています。
これはまさに資産のポートフォリオという考え方。
自分という資産をたくさんポートフォリオをしっかりマネジメントしていくこと。
これによって、自分自身がコモディティ=汎用品化することが避けられるのだとか。
今は、テクノロジーが進歩してクリエイティブな活動がしやすくなっている時代。
確かに自分のオリジナリティを発揮して表現できる場は、ネットをうまく活用すれば幾らでも作れそうです。
人口減少と少子高齢化が日本を救うチャンス。
実は、人口減少と少子高齢化はこれからの日本にとって大チャンスなのだそうです。
その理由は3つ。
1つ目は「省人化の打ち壊し運動が起きないこと」
日本は人口減少が進むが、この不可逆的な流れは省人化の議論が進みやすくなるということ。つまり反対運動が起こりにくいということですね。
2つ目は「輸出戦略」
日本が超高齢化社会を迎えますが、今後、中国や世界で同じような現象が起こる。その時に日本が先手を売って省人化に関するテクノロジーを輸出する。これが日本の切り札になるということ。
3つ目は「教育投資」
人口が減少する中、相対的に大人が多くなり子供の数が少なくなる結果、人材教育コストが高まる。ここにチャンスがあるということです。
人生100年時代の生涯学習という風潮も高まり、ここはポイントになりそうです。
そして、「人口減少は人類史上稀有なチャンス」とまで述べられています。
たしかに物事の見方によって、随分変わりますね。
いかにチャンスと捉えて、前向きに行動できるか。それが大事なのでしょう。
最後に、印象的だった言葉を紹介します。
「自分探し」より「自分ができること」から始めるべきという話の中での言葉です。
自分探し病はだめな時代です。それよりも、「今ある選択肢の中でどれができるかな、まずやろう」みたいな方がいいのです。デジタルヒューマンに必要なものは、「今、即時的に必要なものをちゃんとリスクを取ってやれるかどうか」です。
日々、ご自身の学生に向き合って話をされている落合氏だからこその言葉だと思います。
落合氏の深い洞察力から多くの提言が本書にありました。
とても勉強になりましたし、これからの日本の将来に一筋の光が見える一冊です。
自分の将来を考えるのに大いに役に立つと思います。