武器としての経済学
経済学って難しいし、奥が深い。そう思いませんか。
今回は、大前研一さんの著書「武器としての経済学」を読みました。
本書の帯には「知識がなければ戦えない。」の文字が。
確かにその通り。経済の基本的な知識がないと、ビジネスパーソンとしてはビジネス会話についていけずNGですよね。
本書はテーマごとに簡潔な解説文章が記載されており、今話題になっているフィンテックや、シェアリングエコノミー等の本質的な知識を抑えるのに役に立ちそうです。
円高不況というのは過去の話?
例えば、円高不況という言葉。私自身、そんなの常識だよねと考えてきました。
日本は輸出産業であり、円高になると自動車会社は為替差損が発生するため、苦しくなるという話はよく聞く話です。
しかし、今の日本の輸出企業はこのような円高に対する耐性を既につけているのだそうです。
例えば、国内最大手のトヨタ自動車は28カ国に製造拠点があり、外貨を稼ぐ力があるので、為替差損益による影響は極めて少ないのだとか。
確かに、東南アジアの街中に行くと驚くほどトヨタ、ホンダなど日本車だらけです。
聞いてみると日本車は頑丈で壊れにくい、仮に壊れてもスペアパーツも豊富なので、すぐに修理ができるのだと現地の方は言っていました。
円高=不況という風にずっと思い込んでいたのですが、実はそうではないのですね。
今の投資家の考え方
投資家の皆さんは経営戦略や業績よりも大事にしていることがあるのだそうです。
それは「配当利回りがどれくらいか?」という点。
これは、以前の記事でもご紹介したROE(自己資本利益率)を重視していこうという話に繋がりますね。
そもそも株式とは「企業が将来得るであろう利益を織り込んだ現在価値」のこと。
株式を公開している以上は、この点を無視することはできません。
すべてのビジネスに言えることだと思いますが、足元だけでなく将来的なリターンをどう見ていくかという視点はすごく大事です。
企業単位ではもちろんですが、自分自身(個人)の行動にこの「リターン」で考える癖をつけると、今何をすべきなのかということが明確になるはずです。
破綻しうる企業の兆候を掴んでおく。
破綻する企業にはいくつか共通点があるのだそうです。
そこを掴んでおくと、働いている方であれば今の会社に居続けるのが本当に良いのか?を判断するポイントになりそうです。
その重要なポイントが「役員同士が口を効かず、お互いに陰口を言っていること」
これは、役員の内輪揉めが遠からず企業を傾かせるからなのだそうです。
なるほど。これはどこの会社にもありそうですが、見ておく必要がありそうですね。
これから成長するビジネスの新たな潮流とは?
成長するビジネスは、選択と集中よりも卵の産卵方式。
すなわち挑戦、挑戦、挑戦。この循環が新たなビジネスを生むのだそうです。
そして、今の時流に乗った新たなビジネスをしっかりウォッチしておくことも大事。
例えば、今話題のフィンテック。
これは、金融分野にITを活用して、送金、投資、決済、融資、預金、経理などの従来のファイナンス領域をテクノロジーがやること。
今まで金融機関がやっていたことを金融機関でない企業が奪っていくということを意味するのだそうです。
このような新しいサービスを如何にチャンスと捉え、自分のビジネスとかけ合わせていくかがポイントになりそうです。
大前さんの言葉で特に印象に残ったのは下記の話。
個人の付加価値をあげよ。自分1人あたりのGDPを意識すること。すなわち「どれだけ付加価値を生み出せるか」国や会社ではなく、自分にどれほどの価値があるかという視点が大事。クリエイティブで勝負すること。強いブランドはいくらでも買い手がつく。
これからの時代。企業にぶら下がった生き方では、生活できなくなる日がくるかもしれません。個人で稼ぐ力を持つ。この思考はとても大事だと考えます。
シェアリングエコノミーに関する示唆など、本書は参考になる話がとても多かったです。