ダークサイド・スキル
「人を動かすにもテクニックがある」本書を読んでそのことがよく分かりました。
今回は、グロービス経営大学院の教授でもある木村さんの書籍「ダークサイド・スキル」を読みました。
帯には「きれいごとだけでは、人は動かない!」と強烈な文字。確かにそうですね。いかに綺麗な言葉を並べても表層的に相手には伝わらない。たとえ伝わっていたとしても、動いてもらえない。。。そんな経験よくあるのではないでしょうか?
ダーク・サイドスキルってそもそも何なの?
本書では、ロジカルシンキングや財務会計知識、プレゼン能力をブライトサイド・スキルと呼び、人や組織を動かし、空気を支配して、嫌われても押し通す力をダークサイド・スキル呼んでいます。
コインの裏表のように、どんなものにも良い面と悪い面がある。ブライトサイド・スキルだけでなく、ダークサイド・スキルを身につけて自分のやりたいことを実現していきましょう!ということなのですね。
きれいごとだけでは人は動かないので、「泥臭いスキルも身につけていこう」というのが本書の主張。
今は、変化がめまぐるしい時代。だからこそ、昨日の延長線上の改善だけではなく、自分のやり方やスキルそのものを見直していこうということ。
ストレスはありますが、強い意志を持って身につけていくことが大事だと述べられています。
7つのダークサイド・スキル
ダークサイド・スキルにはいくつかあるそうです。それが以下の7つなのだそうです。
①思うように上司を操れ
②KYな奴を優先しろ
③使える奴を手なづけろ
④堂々と嫌われろ
⑤煩悩に溺れず、欲に溺れろ
⑥踏み絵から逃げるな
⑦部下に使われて、使いこなせ
どうでしょうか?
①の『「思うように上司を操れ」ができれば苦労はしないよ!』という声が聞こえそうですが、そのコツは「ダークサイドのCND」。
CNDというのは、それぞれの頭文字をとって調整(C)、根回し(N)、段取り(D)なのだそうです。積極的・意図的に上司にCNDを仕掛け、操縦するくらいの意気込みで動かしていくということ。
では、⑤の「煩悩に溺れず、欲に溺れろ」これは、どうゆうことなのでしょうか?
これは、何か物事を決める時に最後の拠り所になるのはロジックではなく、「自分の価値観」なのだそうです。
なにを大事と思い、何を優先するか。それが「欲に溺れろ」ということなのですね。
情報が揃わないというのは最悪な先送りワード
「情報がなくて決断できません。」よく聞く話です。
でも本当にそうなのでしょうか?本書ではそうでは無いと述べられています。
情報がまだ不十分だからできないのではなく、本当の意味での意思決定は大抵、不完全な情報下で行うものなのだそうです。
物事を判断する上で全ての情報が揃っていて、ある程度合理的に答えが出る類のものは経営判断とは言わない。6~7割の情報+経験+勘で判断しろということ。
物事を先送りにせず、ある程度集めたら「腹を括ってチャレンジする」これが大事なのですね。
会社をどうしたいか?青臭い議論も必要。
自分の会社がどうなっていくのか?あるいは、どうしていきたいのか?がわからない。
それが、仮に伝わっていないとしたらそれは間違いなくトップの責任です。でも、それに皆さんが気づいているのであれば、ダークサイド・スキルを使って組織を動かすチャンスかもしれません。
会社をどうゆう方向にもっていきたいのか、各地域からスタッフを集めて、青臭い議論をしながら共有することも「恥ずかしがらずにやった方が良い。」と述べられています。
全社の数字の共有だけでなく、議論を通じて理解を深めるべきなのは、そうゆう短期的かつ表層的な目標ではなく、大事なのは「具体的にどんな風になっていたいのか?」ということなのです。
ひとことで言えば、定性的ではあるけれども具体的なゴールの設定。
自分はどんな価値観を大事にしていて、どんな方向に行きたいと思っているのか。それをちゃんと伝えることが必要なのですね。
木村さんはこのように印象的な言葉も述べられていました。
白黒はっきりわからない、かつ、時間軸も違うという状況で、何か物事を決めなければいけないとき、最後のよりどころとなるのはロジックではない。論理的に考えても答えが出ない時に、最後の最後に物を言うのは自分の価値観である。最終的に自分が何を大事と思うか、何を優先するかによって、右に行くべきか左に行くべきかを決める。
本書は、テクニック的な話だけでなく、本当に大事なことは何か?いったことまで踏み込んで話をされている点がとても良いなと感じました。
とっても参考になりました。