デジタル時代の「社内起業家」育成法
ビジネスの前提が変わり、既存事業だけでは生き残れなくなる企業が増えてきていると言われています。
みなさんは、「イントレプレナー」という言葉、聞いたことはありますか?
イントレプレナーとは、いわゆる「社内起業家」のこと。
今回は、大前研一さんの書籍『デジタル時代の「社内起業家」育成法』を読みました。
イントラプレナーには、起こしたい変化を実現していくために、戦略的に社内を巻き込み、リソースを動かしていくことが求められるのだと言います。
具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか。
社内に新規事業が育たない理由
そもそも、なぜ、社内に新規事業が育たないのでしょうか。
本書によれば、その理由は6点あるのだと述べられています。
1.新しいことに挑戦して失敗した人よりも、最初から挑戦もせず失敗もしない人のほうが評価される
2.部下が失敗して自分にも火の粉が降りかかるのを嫌う上司が多い
3.PDCAのPばかりで、Dから先に進まない
4.新規事業が育つにはある程度時間が必要なのに、会社が性急に成果を求めてしまう。
5.そもそも新規事業がどうなるかはやってみなければわからないのに、事前にあらゆるリスクを洗い出して、それらをすべて解決しておくことが前提条件になってしまっている
6.外部の人を入れたり、新しいやり方を取り入れたとしても、最終的にそれまでの自社のルールにあてはめようとするため、新しい芽が摘まれてしまう
いかがでしょうか?
すべてではないにしろ、思い当たる節のある会社は多いのではないでしょうか。
イントレプレナーを育てる仕組み
それでは、上記のような状況を防ぐためには、どうすれば良いのか?
本書によれば、これらを防ぐためには、イントレプレナーになるのだという意欲のある社員に対して、
「母乳(持てるノウハウ)」と「種子(株式)」を与え、新規事業の苗床をつくる仕組みを社内に与えることが大事だと述べられています。
つまり、イントレプレナーに対して、自社のノウハウとインセンティブを仕組みとして与えるということなのだそうです。
これにより、新規ビジネスが自走し、加速することができるようになるのだと言います。
そして、多くの日本企業に対して、自社の「棚卸し」をすることを薦められています。
そうすることで、新規事業に結びつく「宝」が必ず見つかるのだと述べられています。
最後に本書で、最も印象に残った一文をご紹介いたします。
現場から新規事業を生み出すには「何を重視して制度設計するかが最も大事」
社内起業家(=イントレプレナー)を育て、新規事業創出の制度設計の参考になる一冊です。