ジョブ理論
イノベーションを起こすにはどうすれば良いのか?
既存ビジネスので延長では成り立たなくなってきた中、新規事業開発の仕事をされている方も増えているのではないかと思います。
今回は、「イノベーションのジレンマ」で有名なハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授の書籍「ジョブ理論」を読みました。
本書では、どのようなヒントが得られるのでしょうか。
鍵は「ジョブ」。
本書によれば、イノベーションの成否を分けるのは、顧客データや市場分析、スプレッドシートに表れる数字では決してないと断言されています。
それでは、何がイノベーションの成否を分けるのか。
その鍵は、「顧客の片付けたいジョブ(用事・仕事)」にあると断言されています。
・・・どうゆうことなのでしょう。
それは、顧客の購買視点を考えるということ。
つまり、顧客が「商品Aを選択して購入する」と言うことは、「片づけるべき仕事(ジョブ)のためにAを雇用(ハイア)すること。」
ジョブを片付けるために、その商品Aを雇うのだと言います。
ジョブを理解する上での思考実験
では、このジョブを深く理解するためには、何を理解しておくべきか。
それは、次のような質問を投げかけることなのだと述べられています。
その人が成し遂げようとしている進歩は何か?
苦心している状況は何か?
進歩を成し遂げるのを阻む障害物は何か?
不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動を取っていないか?
その人にとって、よりよい解決策をもたらす品質の定義は何か?
その解決策のためにトレードオフにしてもいいと思うものは何か?
これらの質問に答えられるものであれば、顧客のジョブが何なのかを見抜くことができるのだそうです。
そして、顧客のジョブを完全に理解するためには、「機能的、社会的、感情的」側面で物事を捉えることが大切。
この顧客の片付けるべきジョブさえ理解すれば、顧客に雇用されるための本当の競争が浮かびあがるのだと言います。
これは、競争相手より魅力的な解決策を生み出す上できわめて重要な情報であるのだそうです。
最終的には、「顧客の人生に寄り添うこと」。これがポイントだと。
最後に、パーパスブランドという戦略的優位に導くことについて書かれた一文をご紹介します。
ジョブを的確に補足できれば、あなたの会社のブランドをパーパスブランドに返還させることができるパーパスブランドとは、顧客が重視するジョブと自動的に関連づけて考えるブランドのことである。パーパスブランドは、社外の人にとってはあなたの会社が何を体現しているのかを理解する指針となり、社内の人にとってはその意思決定と行動を導く指針となる。
顧客の意思決定プロセスを考えた時に、ジョブを掴むだけではなく、中長期的目線でパーパスブランドを目指すことが大事なんですね。