「ROEって何?」
みなさんは「ROE」という言葉、ご存知ですか?
わたし自身は新聞で目にして聞いたことはあっても、「じゃあ、今からちょっと説明してよ」と言われてしまうと正直厳しいです・・・。
ROEとは「株主が会社に預けているお金を使って、どれだけリターンを稼いでいるかを見る指標」なのだそうです。計算式だと当期純利益÷自己資本と表されるのですが、はっきり言ってこれだけではピンときませんよね。
今回、経営コンサルタントの小宮一慶さんの書籍『「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書」』という書籍を読んでみました。これがメチャクチャ分かりやすい。
本書は「ROE(自己資本利益率)」をはじめとした経営に関する指標について、とにかく分かりやすい表現で解説をした書籍です。
そもそも経営指標を紹介した本は難しすぎた・・・。
本書が問題提起しているのはこの部分。必要最低限の話だけで良いのに、会計知識をベースをされると
ハードルがグッとあがります。
実際にビジネスとして使える重要な指標は限られているので、1つ1つ丁寧に図解で解説すれば間違いなく理解できるようになるでしょうというのが、本書のコンセプトのようです。
ROEブームという記事はよくビジネス誌や新聞でも目にしますが、それが一体どうゆうことなのか?という背景にも触れられており理解が深まります。
私のような会計に弱い人にもよく分かる!
今まで決算書や経営分析に関わる書籍も沢山読んできましたが、本書はトップクラスの分かりやすさです。
なぜ、そうなっているのか?といった理由が丁寧に解説されていて読み手の立場に立っていて、とても親切な構成になっています。
特に、財務諸表の見るポイントにもしっかり触れていて、株式投資をする方には大いに参考になりそうです。
私は趣味で株式投資をしていますが、今まではチャートを見てなんとなく良さそうだという視点だけでこ株式を購入していました。本書を読んでから企業の経営指標を意識して見られるようになりました。
貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CS)は何のために見るのか?ということが端的に一言で言える人がどれくらいいるでしょうか。本書は、本質をついた説明と図解でしっかり理解が深まります。
BSから安全性、PLから収益性、CSから将来性を読み取るんですよと言った話がキチンと説明できるとクールですよね。
初学者の方はもちろん、ある程度理解の進んでいる方にも発見のある本だと思います。DCFやWACCなどの投資判断指標についてもバッチリ触れられています。
本書で印象に残っている内容は以下の文面です。引用します。
紹介したさまざまな経営指標をよくすることは経営の最終目的ではない。あくまでも目標です。会社の存在意義というのは、あくまでも次の2つを実現することにあります。
①商品やサービスを提供することで、お客さまを幸せにし、社会に貢献すること
②会社が働く従業員を幸せにすること経営指標というのは、あくまでもこの2つを実現するための道具や達成度合いを測るものに過ぎないのです。
これぞまさに「ビジネスの目的は何か?といった本質をついた言葉」です。この点を無視したビジネスは長く続かないでしょう。
本書のタイトルになっている「ROE」のほか、ROA、自己資本比率、流動比率、資本回転率などの重要と一般に言われているキーワードについても詳しく解析されています。手元に置いて何度読み返してみてもよいと思える良書だと思います。