新・生産性立国論
「働き方改革」という言葉が流行しています。
しかし、日本は依然として「働き方」について課題を抱えていると言われています。
デービッド・アトキンソンさんの書籍「新・生産性立国論」を読みました。
日本の生産性が上がらないのは、何故なのでしょうか?
その秘密を探るべく、本書を手に取ってみました。
人口減少時代がやってきた。
人口減少は企業にとって、文字通り死活問題だと言われています。
経営戦略を間違えた企業は人を雇用できなくなり、人手不足による倒産や廃業は増える見通しであると。
日本は「労働者の質」はトップレベル、「無能な経営者」こそ問題だと述べられています。
これから日本は人口減少時代の経営にシフトする必要がある。
人口増加時期は、コスト削減して、単価を下げるなどして拡大するマス市場を取り込めば、開拓できた。
一方、人口減少時代については、同じ付加価値を生み出すのに、2人でやっていた仕事を1人でやらなければならないのだという。
そして、企業が生産性を上げるためには「5つのドライバー」と「12のステップ」を踏むべきだと説かれています。
生産性向上の「5つのドライバー」とは。
1.設備投資を含めた資本の増強
2.技術革新
3.労働者のスキルアップ
4.新規参入
5.競争
言われてみれば当たり前の話かもしれません。
しかし、一番のポイントは4、5の機会あるいは脅威をいかに乗り越えるか。
ここに生産性向上のカギがあるのではないかと考えます。
生産性向上の「12のステップ」とは。
1.リーダーシップ
2.社員一人ひとりの協力を得る。
3.継続的な社員教育の徹底
4.組織の変更
5.生産性向上のための新しい技術に投資
6.生産性目標の設定と進捗
7.セールスやマーケティングも巻き込むべき
8.コアプロセスの改善
9.ナレッジマネジメント 知識管理
10.進捗報告
11.効率よく実行
12.責任者を決めておく
この中でも一番大切なのは、1.リーダーシップの話でしょう。
生産性向上にコミットし、それを実現する組織を築き上げることが、経営者のもっとも重要な任務であると述べられています。
生産性向上のための戦略をつくり、それを社員全員に伝える。
シンプルで当然の話かもしれませんが、一番のポイントは「社員全員にわかりやすく伝える力」だと思います。
経営者は肝を据えて「内敵」と戦え。革新を嫌うのは、組織外の人間ではなく、内部の人間。改革は内なる敵にやられることが多い。だからこそ、経営者は肝を据え、対立も覚悟しなければならない。
これは、深いですね。
本書は「生産性立国」を謳っていますが、経営者が「働き方改革」を追求する上で大切なことを教えてくれる良書だと思います。