東大教養学部「考える力」の教室
今回は、博報堂ご出身の宮澤正憲さんの書籍『東大教養学部「考える力」の教室』を読みました。
宮澤さんは東京大学教養学部の特任教授で、学生さんに発想教育プログラムを教えられているそうです。
帯には『人生の「武器」になる』との言葉。
この「考える力」がどのように人生の武器となるのか?その秘密を探るべく読んでみました。
なぜ、「考える力」が必要なのか?
そもそも、なぜ「考える力」が必要なのでしょうか?
本書によると、今の仕事は「正解のない問いに共に挑むことが常に求められている」からなのだそうです。
例えば、新規事業を生み出す時は「考える力」が必要になりそうです。
既存の延長の考えだけでは、改善はできても、「新しいもの」を生み出すことは難しい。
この現状は、私たち大人を含めた日本が抱える大きなジレンマだと述べられています。
確かに、ここ10年くらいイノベーションを起こしてきたのはアップル、グーグル、フェイスブックなどのアメリカの企業が中心でした。
では、新しいものを生み出すためにはどうすれば良いのか?
本書によれば、正解のない問いであっても基本フレームさえ使いこなせれば考えることができる。
アイデアは決して才能ではなく、「考える力」は誰でも訓練すれば向上できるのだそうです。
考える力の基本的なフレーム「リボン思考」とは?
この、基本フレームを本書では「リボン思考」と読んでいます。
リボン思考を身につけると、どのような良いことがあるのでしょうか。
新しいものをつくる力や、企画アイデア力だけでなく、人生のあらゆる局面で必要とされる次のような力を鍛えることができるのだそうです。
①伝える力
②グループで話す力
③書く力
この3つの力です。
リボン思考は、インプット、コンセプト、アウトプットという思考の3ステップから構成されています。
事実について考え→解釈について考え→解決策について考えるという方法でこれらの力を身につけることができるのだとか。
コンセプトの大切さ。
一番、印象に残ったのはコンセプトの話。
このコンセプトで考えの肝を掴むことがとても大事なのだとか。
コンセプトとはなんなのでしょう。
本書によると。全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点のこと。
言い換えれば「ひとことでいうと、何なのか?」ということ。
例えば、スターバックスは「家でも職場でも無い第3の場所=サードプレイス」というコンセプトを徹底して貫いています。
コンセプトを明確にすることで、アイデアは競合と同質化しづらいものになるのだそうです。
コンセプトとは不思議なもので、絞った方がその存在感が際立ち、結果、販売にも貢献していきます。幅広く緩いコンセプトだと一見良さそうですが、実は中途半端な70点主義に陥り、想定以上に誰にも見向きをされないということになりがちなのです。
なるほど、コンセプトを絞りこむ大切さがよくわかります。
私は、リボン思考のインプット、コンセプト、アウトプットの中で一番大事なのはコンセプトだと理解しました。